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テレスコーピング公式は金融工学ですぐに役立つ公式ではないが、確率統計を理解する上で有用なツールである。確率統計を理解する上では身近な離散的な例で、実際に確率を計算してみることで理解が深まるが、確率を求める際にテレスコーピング公式を用いると計算が楽になる。
テレスコーピング公式とは
\(a_{n} \)が実数列の時次のテレスコーピング公式が成り立つ。 \((n \in \mathbb{N}) \)
$$ \sum_{k=1}^n (a_{k+1} – a_{k}) = a_{n+1} – a_{1} $$
特に、\(a_{1} = 0\) のとき、
$$ \sum_{k=1}^n (a_{k+1} – a_{k}) = a_{n+1} $$
シグマの中身は相殺されていき最後だけが残る。望遠鏡は広げると大きいが、たたむと結局最後の筒の大きさになるということを意味している。
テレスコーピング公式の応用
\(a_{k} = {}_k P_{t+2}\)のとき、順列の総和がひとつの順列を使って表せることを示す。
$$ \sum_{k=1}^n (a_{k+1} – a_{k}) = \sum_{k=1}^n ({}_{k+1} P_{t+2} – {}_{k} P_{t+2}) $$
$$ = \sum_{k=1}^n \left\{ (k+1)k(k-1)…(k-t) – k(k-1)…(k-t-1) \right\} $$
$$ = \sum_{k=1}^n k(k-1)…(k-t)(k+1-k+t+1) $$
$$ = (t+2) \sum_{k=1}^n {}_k P_{t+1} $$
テレスコーピング公式より、これが\(a_{n+1} \)になるので、
$$ (t+2)\sum_{k=1}^n {}_k P_{t+1}= a_{n+1} $$
$$ (t+2)\sum_{k=1}^n {}_k P_{t+1} = {}_{n+1} P_{t+2} $$
$$ \sum_{k=1}^n {}_k P_{t+1} = \frac{{}_{n+1} P_{t+2}}{t+2} $$
$$ \sum_{k=1}^n k(k-1)…(k-t)= \frac{(n+1)n(n-1)…(n-t)}{t+2} $$
\( \sum_{k=1}^n k^m \) の計算
テレスコーピング公式の応用を利用することで\( \sum_{k=1}^n k^m \) を計算することができる。
例えば、\( \sum_{k=1}^n k^3 \)は、
$$ \sum_{k=1}^n k^3 = \sum_{k=1}^n k(k-1)(k-2) + 3\sum_{k=1}^n k(k-1) + \sum_{k=1}^n k $$
$$ = \sum_{k=1}^n {}_{k} P_{3} + 3\sum_{k=1}^n {}_{k} P_{2} + \sum_{k=1}^n {}_k P_{1} $$
テレスコーピング公式の応用より
$$ = \frac{{}_{n+1} P_{4}}{4} + 3\frac{{}_{n+1} P_{3}}{3} + \frac{{}_{n+1} P_{2}}{2} $$
$$ = \left( \frac{n(n+1)}{2}\right) ^2 $$
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